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スウェーデンである。
意外なことにスウェーデンは長い間、誰かが突出することを嫌う社会であった。
ヤンタラーゲン(jantelagen)という格言がある。
「自分を人と違うと思うな。
〈自分は特別な存在だ〉と思うな」という意味である。
スウェーデンはヨーロッパの中心から離れた位置にあり、歴史的に他国との往来も少なく、日本同様に、閉鎖的で等質的な社会をつくってきた。
この半世紀、スウェーデンはそうした文化を変えようと努力してきた。
文化を変革させることは大変な困難を伴うが、中学生の段階からプレゼンテーションをどしどし行うなど、子どもたちが物怖じせずに発言できる訓練をし、子どもの自信をどう構築するかの施策を、国ぐるみで検討し実施している。
ことについて述べたい。
「やる気が失せる授業」で、学生の不満がどれほど深刻かを述べた。
またこの章では学生からの授業に対するたくさんの改善案を検討した。
教員も1人の人間である以上、気づかずに「よかれ」と思ってやっていることが多い。
授業に対する不満や注文をきちんと教員に伝えてはどうか。
教員側では、努力したつもりなのに学生に不満を持たれていることは残念である。
インタビューの際にそのように学生に伝えたところ、「言ってもどうせ駄目な先生が多い」という答えが何人かから返ってきた。
説教がましくて恐縮だけれど、そんな風に決め付けないほうがいい。
1人で言いにゆくのが大変ならば、友だちと相談して複数で先生に伝えたらよいと思う。
「日本の大学は学生を〈遊ばせている〉」と陰で言わずに、「本当はもっとまじめに自分を訓練したい」という意志を教員にわかるように告げてはどうか。
インタビューを受けてくれた学生の中に〈遊び、堕落して〉単位を落とした者、留年した者も何人かいた。
単位を落とさなくても自分から〈目が覚めた〉学生もいた。
多くの場合、〈遊んでいる〉ことで自信を失い、落ち込んでいた。
そこから立ち上がった者たちの証言をインタビューまでに載せた。
M志とのM雄は「自主的な勉強に任され〈堕落〉の始まり」で紹介した2人であるが、自ら悟って立ち直った2人である。
R太も挫折を経験して、目標を見つけた1人である。
学業に背を向けてしまって悩んでいる学生の役に立てばという目的で、これらを収録した。
T香も同様であるが、挫折を経験した者が自分と素直に向き合うと、しっかり自立できる好例である。
落ち込むこと、くよくよと思い悩むことは誰にでもできる。
思い悩むことを止めて道を拓くことに決めた学生たちの経験に耳を傾けてほしい。
彼らが立ち直れたのはくよくよ悩むことを止めて、行動へ移ったからだ。
みな劣等感を持っていた。
劣等感を持っている自分が嫌いで行動を起こした。
大げさな行動でなくても、行動すれば変わる、変わって飛躍できるというよい手本だ。
自分で選択・決断し、実行した結果、手にしたものだ。
学生は自分の未来を拓くために大学へ入学してくる。
仮に「みんなが大学へ行くから私も行くことにした」という学生であっても、自分の未来にとってよかれと思って入学してきたことに変わりはない。
大学は学生が未来を切り拓くために、どのような役割をしたらよいのだろうか。
〈就職戦線〉は厳しいだけでなく、学生たちの「自立」「社会化」が必ずしもうまくできていないことから、また進路の選択肢が多くなっていることから、就職への不安が学生たちの間で大きくなっている。
学生たちが自分の未来を切り拓くために就職活動で努力や苦労をしているのか、学生が自分の将来に対してしっかりしたビジョンを持ち、何よりも自信力を構築していくために、大学や社会はどのような支援をしていったらよいのかを、学生たちの声に耳を傾けながら、検討してゆく。
学生の置かれている立場を客観的に見た場合、彼らは総じて、社会の温かい支援を受けていない。
大学に在籍していながら教職員からアドバイスを受けることはおろか、接触そのものも少ない。
アルバイト先では、当然のように安い使い勝手のよい労働力として使われる。
マスコミからは「今の若者は」と、ことあるごとにバッシングを受ける。
そのようにバッシングされながら、学生は消費者としてターゲットにされ、金を「落とす」集団として大きく期待されている。
未来を拓くために、仕事を手にするために必死な学生たちを、社会はもっと育成し、支援できないのだろうか。
「無業者」にならないために他の学生との「差別化」を図ろうと、学生の多くが大学以外のところで資格取得の勉強をしたり、語学を学んだりする状況が生まれている。
大学院は研究、大学は教育をするところという分別した傾向もはっきりしてきた。
各大学は学生たちに何を提供することができるのか、どのような教育・育成を目指しているのかを明確にすることが、ますます問われる時代になってきた。
労働市場で大学生が買い手市場になって10年あまりが経つ。
日本経済が立ちゆかず、大学生にとって就職が「超氷河期」になって以来、無業者が若者の間に増えている。
2003年では大学卒業生の22.5%が職に就いてないとあれば、就職活動(就活)に不安があるのは当然なことだ。
「フリーターになりたがる若者が増えている。
自由気ままなライフスタイルを捨てきれないからだ」というマスコミ論調があるが、ある学生は「私の周りにいるフリーターたちはみんなフリーターから早く抜け出したいと思っている」と語った。
筆者のアンケート調査結果からも、卒業後フリーターを自分から志望する者は4%に過ぎなかった。
フリーターには「絶対なりたくない。
自分は定職しか考えていない」が55%、「フリーターを選びたくないが、定職がなければ仕方がないのでフリーターになる」が41%であった。
『仕事のなかの曖昧な不安』の中で著者の玄田有史氏が明快に分析しているように、若者の中にフリーターが増えているのは、就業意欲が希薄になったというより、定職にありつけない者が多いからなのだ。
なお、インタビューでフリーターを自ら志望していると語ったのは93人中、わずか1人であった。
和菓子職人になることを目指しており、そのための各種学校の授業料を捻出するにはフリーターが便利だと判断したという。
「定職に就きたい」という思いから必死に就職活動をする。
多くの学生が3年生の秋頃に就活を始め、運良く内定が出るのは早い人でも4年生になった4月。
遅い人は卒業間際まで待つこともあり得る。
かつて大学生が売り手市場だった頃と比べると、就活は早く始まり、長く続くということだ。
しかもその熾烈さは学生たちが企業に送るエントリーシートの数1つを取っても理解できることだ。
H也は「50社以上にエントリーシートを送って、内定が来たのは2社」と語ったが、多い人はエントリーシートを100社以上に送っているという。
就活を「自分を試すよい機会」で、楽しいと感じている学生がいないわけではないが、多くは緊張と不安を抱いて就活をする。
まずは企業説明会に出向き、エントリーシートに書き込み、1般常識などのテストを受け、やっと面接にこぎつけたとしても、結局次々と不合格になる。
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